現在では、鳥が恐竜から進化した事がほぼ確実になったが、何故羽ばたく為の翼が進化したかは大きな謎だった。今までは、主に2種類の仮説が、信じられてきた。一つは恐竜が地上を疾走する時に、翼を羽ばたかせ推進力の足しにしているうちに飛べるようになったとする仮説である。もう一つはムササビのように樹上から滑空しているうちに次第に飛べるようになったとする仮設だ。
しかし、どちらの仮説にも大きな矛盾がある事が最近わかってきた。それは、とても推進力や滑空能力をもつとは考えられない小さな羽根状の前足を持つ恐竜が発見された為である。何故、この恐竜が羽状の前足を持つのか、何かの役に立つから進化したはずであるが、今までまったく謎だった。
ところが、この矛盾を解決できるまったく新しい仮説が、米国ミネソタ大学の研究者Kenneth Dial等により発表された。鳥の翼は、急な斜面を駆け上ったり障害物を乗り越えたりする為に発達したというのだ。
研究者等がキジ科の鳥のヒナを使った実験で、翼に羽のあるヒナと羽の無いヒナでは、斜面の登坂能力に大きな違いがある事が示された。鳥のヒナを使ったのは、ヒナの未発達の翼が、進化前の翼に見立てることが出来るからだ。その結果、翼に羽のあるヒナでは、45度も多くの角度を這い上がれる事がわかった。何と90度以上の反り返った崖でも、翼をばたつかせながら這い上がる事が出来たという。
おそらく、捕食者に狙われた恐竜が翼をばたつかせて崖を逃げ回っているうちに、次第に飛行能力を身に付けていったと考えられる。つまり、小型の恐竜が持っていた翼状の前足は、実際に役に立っていたと言うわけだ。
参考資料
ヤフーニュース:Study: Frantic Flapping May Have Led to Flight
Thu Jan 16, 3:03 PM ET Add Science - Reuters to My Yahoo!
By Maggie Fox, Health and Science Correspondent
New Carthago City