現代人のアフリカ単一起源説を主張する学者にとって、非常に有利な発見があった。エチオピアのミドルアワシュ近郊で発見された人骨が、約16万年前の現代型ホモ・サピエンスのものと判明したのだ。
これまで、アフリカ単一起源説を唱える学者は、15から20万年前のアフリカで、現代型ホモ・サピエンスが誕生し、古代型ホモ・サピエンスと入れ替わりに世界に広がっていったと主張してきた。しかし、アフリカのどこからも、それほど古い時代の現代型ホモ・サピエンスの人骨が発見されていない事が、難点だった。
今回の発見が、少なくともアフリカ単一起源説を強力にサポートする事は、疑いの余地が無い。しかし、たとえ最初の現代人がアフリカに出現したとしても、世界中の古代型ホモ・サピエンス全てを、滅ぼして入れ替わったとするアフリカ単一起源説を、決定付ける事にはならない。アフリカ単一起源説に異議を唱え、「現代人は世界中で並行して同時に進化したとする」平行進化説を唱える学者の、反発は避けられないだろう。
今回、16万年前と確認された人骨は、大人の頭骨2体と子供の頭骨1体分で、骨自体は1997年に発見されていた。頭骨は、頭蓋が厚く、目の上の膨らみ・眼窩上隆起が多少発達しているなど、幾分古い形質も残している事から現代人の亜種として、ホモ・サピエンス・イダルツ・Homo sapiens idaltuと命名された。しかし、写真を見る限り、古い形質は十分現代人の変異内に入るのではないかと思われる。今回も、自分の発見物に新しい名前を付けたがる学者による、過剰な種の細分化ではないだろうか。
参考資料
Science - Reuters:Fossils of Early Modern Humans Found in Ethiopia
Wed Jun 11, 1:58 PM ET
By Patricia Reaney
New York Times :Skulls Offer First Glimpse of Early Human Faces
Wed Jun 11, 3:03 PM ET
By JOHN NOBLE WILFORDThe
New Carthago City