ブルーノは、その怪力と粗野な行動で、かねてより要注意チンパンジーだった模様で ある。チンパンジーは、類人猿の中でも圧倒的に凶暴な性格で、小動物を捕らえて食 べるのは日常茶飯事、時には仲間内での集団リンチや殺し合いまで行なうことが知ら れていた。
しかし、さすがに人間を襲って食べたと言う記録は、聞いたことがない。まさに前代 未聞の事件である。芸達者なチンパンジーは、一般に恐ろしいイメージはないが、テ レビやサーカスで、人気者になっているのは、いずれも子供のチンパンジーである。 成長したチンパンジーは、人間の命令も聞かなくなり、体力的にも人間を凌駕するた め、ほとんどの場合が動物園の檻の中で余生を過ごす。
チンパンジー社会の凶暴性は、まさに人間の社会そのものの縮図でもある。人に最も
近い動物と言う事も納得できよう。一方、チンパンジー以上に人に近いとされるボノ
ボ(ピグミーチンパンジー)の社会は平和主義である。こちらもある意味、人間社会
を象徴している。博愛主義を唱えながら一方で戦争をする人間社会の矛盾性は、彼ら
類人猿の社会に垣間見ることが出来ると言えるだろう。
殺人犯ブルーノは、現在も逃亡中で捕まっていないと言う。
参考資料
INN特派員:ハンニバル43世 2006年4月28日
New Carthago City