世界中に数多く残されている古代遺跡の中でも、エジプトの遺跡群はもっとも偉大で驚異に満ちている。 エジプトといえばまず第一にピラミッドやスフィン クスを想像するが、これらの建造物の建造者や建造目的は解き明かされたとは言い難い。 現代の我々だけではなく遥か昔の人々もエジプトのピラミッドやス フィンクスに畏怖の念を抱いてきた。
ギリシャの哲学者フィロンは、世界七不思議の第一番目にエジプトのピラミッドをあげた。 又、スフィンクスは旅人に謎掛けをする恐ろしい怪物でもあっ た。
現在一般的にはギザの三大ピラミッドは、約4500年ほど前に古王国第4王朝のファラオ、クフ王、カフラー王、メンカフラー王によって建造されたとされ ている。 しかし人類最大級の建造物を、なぜ人類最初の文明が作り得たのか。
特にギザの三大ピラミッドを作ったとされる第4王朝時代は、エジプトに都市文明が芽生えて、たかだか500〜600年後のことである。 又、ギリシャ時 代より、エジプトは古代からの英知を集めた、文化・文明の殿堂であった。 なぜ人類最初の文明にギリシャ人も驚くほどの英知が蓄積されていたのか。
現世人類である現代型ホモサピエンスが地上に現れたのは、少なく見積もっても10万年以上前のことである。 つまり現代人と同じ能力を潜在的に備えた 人々が地上に現れ、都市文明を発達させるまでに10万年以上かかったことになる。 10万年かかって誕生した最初の文明が、いきなり500年で人類最大の 建造物を建てたことになる。 しかもそれ以後4500年あまり、数多くの文明が栄えたにもかかわらず、ギザの三大ピラミッドを上回る規模の建造物は建てら れていない。 テクノロジーが発達し、様々な建設機械が使われるようになった20世紀後半になって、初めてピラミッドに匹敵する規模の建造物が建てられる ようになった。
フィロンの世界七不思議の中でピラミッドだけが群を抜いて古いものにもかかわらず、現在残っているものはピラミッドだけだという事実から考えても、ピラ ミッドがいかに高い技術で建造されたかがわかる。
文明の進歩を語る上でエジプトの遺跡は明らかに一般常識からかけ離れているように思われる。 エジプトに先立つ文明の存在を考えなければこの矛盾を解 決、することは困難である。
ギザの三大ピラミッドは、その前後に建造されたピラミッドと比べ技術力や規模において群を抜いている。
以前に建造された物より優れている事には何も矛盾はないが、それ以後に建造されたものよりはるかに優れているのである。 技術の衰退が起こる原因は、い くつか考えられる。
ピラミッド建造事体があまり行われなくなったために技術が衰退した場合や、ギザの三大ピラミッドで一度ピラミッド建造が行われなくなり。 以後に建造さ れたピラミッドは時間的に大きなブランクがある場合である。 しかしエジプトの場合はどちらも当てはまらない。 ピラミッドはずっと連続して建造され続 け、これ以後に建造数のピークを迎える。
下の表は、エジプトの知られているピラミッド48基の高さ及び底辺のデータを古い順に並べたものである。(データは、教育社ニュートン'92年9月号を 使用、各王朝内の建造順は無視) 表の抜けている部分は不明のもので、底辺の縦横比が異なるものは平均してある。 表中のピークを形成しているものは、ギ ザのピラミッド群である。
どう考えてもギザのピラミッド群は年代が古いにもかかわらず、ずば抜けて大規模である。
エジプトのもう一つの偉大な謎にスフィンクスがある。
数年前に、ボストン大学の支援で地質学者を中心にスフィンクスの調査がおこなわれた。
彼らは、スフィンクス及びその周辺の浸食を入念に観察した結果、浸食が多量の降雨の結果であり、スフィンクスの建造年代が予想以上に古いという結論を下 した。
この地質学者たちによる浸食の研究により、初めてスフィンクスの建造年代を推測できる物的証拠が出てきたにもかかわらず、このグループはエジプト学者の 猛反発にあいエジプトから締め出された。 この事件以後、さまざまな分野からスフィンクスの建造年代に関して疑問が出されるようになった。 確かにスフィ ンクスには大規模な侵食の後が残されている。 この事から考えて、スフィンクスが最後の多雨期BC5000年以前に建造された事は、ほぼ間違いないように 思われる。
仮にスフィンクスの建造年代を一番新しいBC5000年頃として、エジプトの王朝が始まったのはBC3000年頃なので、エジプト文明以前の文明を想定 しないとつじつまが合わない。
大ピラミッド、スフィンクスは何時、誰によって作られたのか。 はたしてグラハムハンコック氏の主張するようにアトランティスの遺産なのか。 グラハム ハンコック氏が、著書の中でスフィンクスと獅子座を結び付けたことは大変興味深い。 星好きなら誰でもスフィンクスと獅子座が、そっくりな事はすぐに分か る。 まして遮るものも全くなく、一面の星空が広がる古代エジプトにおいてこれらを関連づけて考えない方が不思議である。
参考文献及び資料一覧
古代エジプトの謎を掘る:世界文化社・・・・・吉村作治
神々の指紋:翔泳社・・・・・グラハム ハンコック
創世の守護神:翔泳社・・・・・グラハム ハンコック
ニュートン '92年9月号:教育社
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